支援員のお悩み相談室 第22回 ほかの子と一緒に集団行動ができない子がいて、毎日手がかかります。どのように接したらいいのでしょうか?

回答者: 高橋 誠

2021.05.17

1人だけ、きちんと座る、並ぶといった集団行動ができず、毎日の会などでほかの子に迷惑をかけてしまう子がいます。どうしたら落ち着いてみんなと一緒に過ごせるでしょうか。(滋賀県・支援員歴1年)

まず、子どもが安心して過ごせる環境をつくるため、「子どもが自ら生活の見通しを持てるようにすること」「子どもと一緒に生活を組み立てること」を心がけます。そのうえで、集団行動が苦手な子どもに話を聞いてみましょう。

 

子どもと一緒に生活を組み立て、見通しを持てるようにする

集団行動が苦手な子どもへのかかわりを考える前に、まずは子どもが自ら生活の見通しを持てるようにすることが必要です。学校があるときは、学童保育に帰ってきてからの過ごし方を、夏休みなどは朝からの過ごし方を子どもたちと確認します。1日の生活の流れや個々の子どもの帰宅時間などを壁に掲示しておくと、子どもたちが自分で確認できます。

その上で、学童保育では子どもが生活の主体であること、幼児期を過ぎて小学生になると「自分でできること、やりたいと思っていることは自分でやりたい」という思いが芽生えてくることなどを考慮すると、支援員や指導員が学童保育での過ごし方を一方的に伝えるだけでなく、子どもと一緒に生活をつくっていくという視点も大切です。

私は児童館併設の学童保育に勤務していますが、このコロナ禍では、学校が長期休みの際、朝から学童保育に来る小学生と、児童館を利用する乳幼児とその保護者の居場所づくりで、いろいろな変更や工夫をしました。

午前中、乳幼児と保護者のスペースにホールの半分を取ると、その時間はボール遊びができなくなります。子どもたちは、スペースが半分になることには反対しませんでしたが、遊びが制限されることを残念がっていました。そこで、これまで「学習タイム」のあと自由な遊びができる流れだったのを、遊びを先にして、乳幼児の利用時間帯の一部を学習タイムにすることを提案しました。子どもたちもそれに賛成し、納得して住み分けができました。

ほかにも長期休み中には、子どもたちから「家からおもちゃを持ってきたい」などの要望が出ますが、これも「なくすと困るものは持ち込まない」と簡単には終わらせず、「どうしたら持ってこられるか」というルールづくりを子どもたちとともにします。

とはいえ、一日の流れを説明し、子どもと生活をつくる工夫をしても、子どもたちが事前に確認した流れのように行動するかといえば、そのようにはなりません。遊びに夢中になればなるほど、「気がついたらこんな時間」ということはよくあることです。例えば、おやつの時間になってもなかなか集まることが難しい場合には、「あと10分でおやつにするよ」と、少し余裕をもって声をかけることや、子どもが片付けに困っているのなら、一緒に片づけるなどのかかわりも必要です。

 

子どもの思いを聞くこと

余裕をもって声をかけても、集まれない子どももいます。漫画に集中している子の中には、こちらの声がまったく耳に届いていない子もいます。そんなときは、「どうしたの?」と聞くこともあります。集まるべきときに集まれないことを注意するのではなく、「どうしたかったの?」「あなたの気持ちを聞かせてほしい」と、子どもの話を聞くことを心がけています。

「(工作の途中で)この部品をくっつけたら完成するんだ」ということであれば、「それができたら、キリがいいところで戻っておいで」と言います。「もっと遊びたい」というのなら、「この後も遊べるよ。道具をまとめて、後で遊べるようにしておこうか」といったやりとりをします。そもそも、みんなで集まるということ自体に抵抗感をもっている子もいます。その子の思いを丁寧に聞き取ることが大切です。

学童保育での生活で一番に考えたいのは、一人ひとりの子どもの思いです。子どもたちは、ときには心に重たい荷物を背負って帰ってくることがあります。その時の気分や感情で休むことはできず、まずはここに帰ってこなければなりません。一人ひとりの子どもにとって、学童保育が安心して安全に過ごせる継続的な「生活の場」となるためには、のんびりゆったりとできるスペースがあること、喜怒哀楽をかみしめられる仲間関係があること、信頼できる支援員・指導員がいることが必要です。

そのためにも、一日の生活の流れや保育内容は吟味する必要があります。大抵の場合は、これまでの生活の流れや保育目標などをもとに検討しますが、その年によって子どもの人数、学年構成、個々の子どもの状況などは変化し、支援員・指導員の人数や体制も前年度と違うことがあります。子どもたちにとって継続的な「生活の場」を保障するために、目の前にいる子どもたちの状況などと照らし合わせて組み立ててほしいですね。

「一人ひとりの子どもの思いを聞く」ということは、決して大人が子どもの言いなりになることではありません。支援員・指導員としての思いや考えを伝えることと、子どもの話を聞くことは、学童保育での生活をつくるうえで不可欠な取り組みです。学童保育での生活の主体は子どもたちだからこそ、そこでの生活を考える際には、子どもの納得と合意を大切にしたいと思っています。


(文・構成 生島典子)

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 高橋 誠

回答者プロフィール 高橋 誠 (たかはし・まこと)

1968年、東京都生まれ。91年に東京23区に入区し、現在、区内児童館長(放課後児童クラブ担当兼務)。指導員歴は30年。東京都放課後児童支援員認定資格研修および資質向上研修の講師を務める。白梅学園大学非常勤講師および全国学童保育連絡協議会事務局長。