支援員のお悩み相談室 第43回 日頃から支援員のひざに乗ってきたり、ベタベタとくっついてきたりする子がいます。どのように対処すればよいのでしょうか。
日頃から支援員のひざに乗ってきたり、ベタベタとくっついてきたりする子がいます。子どもとの関係性を悪くしたくないので突き放すわけにもいかず、どこまでが許容範囲なのか迷います。子どもと異性の支援員との関わりやスキンシップも、度を過ぎているのではと感じるときもあり、どう対処すればいいのか教えてください。
スキンシップを求めてくる子どもの気持ちをいったん受け入れてから、心地よい関わり方を伝えていきましょう。
大人に寄ってくるのは、「自分を見てほしい」というサイン
学童保育は放課後の「生活の場」です。子どもは支援員と家族のように安心できる関係を築きながら過ごしています。特に低学年であれば、日常的にスキンシップが生まれるのも自然なことです。ひざに乗ってきて抱っこしてほしいという子や、背中に回っておんぶしてほしいという子、まとわりつくようにくっついて支援員のそばを離れない子など、さまざまです。
大人に寄ってくるのは、その子の「自分を見てほしい」「甘えたい」というサインです。甘えたくてくっついてくる子どもに対して、「支援員は子どもを触ってはいけない」とすべての関わりを「ダメ」と突き放す必要はありません。とはいえ、子どもの気持ちが大切だからと、ずっとくっついているのではなく、支援員の側から子どもに離れるよう促すようにしましょう。
私は、いったんひざに乗せて子どもを受け入れて、少したったら「もう赤ちゃんじゃないから自分で座れるよね」とひざから降りるように伝えます。「異性だからダメ」「肌が触れ合うからダメ」というより、「小学生だから、もう自分で座れるよね」というスタンスです。また、子どもが抱きついてきたら、「ギューってするよ」と言ってから、「イチ、ニ、サン」と数えて離すなど、「3秒ルール」を決めておくこともよいと思います。ひざに乗ってきたときも、おんぶも同じです。はじめから子どもを拒否するのではなく、子どもの気持ちを受け入れながらも、ちょうどよい距離感を保つことができます。
「甘える方法はスキンシップ以外にもある」ことを伝えていく
スキンシップは、大人よりも子ども側の視点に立つことが大切です。子どもが成長していく中で、スキンシップは誰にでも求めるものではないということを、しっかりと伝えていかなければなりません。家族である父母やきょうだいへの甘え方や関わり方と、外の社会での他人との関わり方は違います。学童保育の支援員は毎日関わる中で、甘えてくる子を受け止められる近しい存在ではありますが、家族とは違う他人だということを覚えていってほしいと思います。
そのためにも、支援員が一人ひとりの様子を見ながら、「好きな遊びは何だろう」「心配なことはないかな」と、子どもの気持ちをわかろうとしながら関わっていくことが大切です。隣に座って話をしたり、絵を描いたり、体を動かして遊んだり、「甘える方法はスキンシップ以外にもある」ということを、子どもと一緒に考え、他人との関係の作り方を伝えていけるといいですね。
また、大人も子どもも、イヤなことは「イヤ」と言っていいというのは大前提です。子どもは触っていることで安心感を得られるのでしょうが、腕やわき腹、耳たぶなど支援員の体を触りにくる子には、「やめてね」「イヤだな」「やりすぎだよ」と伝えることも大事です。イヤなことをがまんしてまで子どものスキンシップを受け入れる必要はありません。
異性の子どもとの関わりは常に意識をしていく
近年、異性の子どもに対しての保育者や教育者によるさまざまな事件が起きています。子どもの性別にかかわらず、異性の支援員はより気をつけて子どもに接しなくてはなりません。「支援員が異性の子どもとベタベタと接しているのを目にしたとき、それがわが子でなくても、『うちの子も支援員に体を触られているんじゃないか?』と保護者は不安になることがある」という話を聞いたことがあります。
個々の支援員がどのように子どもと接しているかは、長い保育時間を通して見てもらえれば、「そんなことをする人ではない」とわかってもらえる場合でも、保護者がお迎えにきたときなど、学童保育の1コマだけで判断されてしまう可能性があるのです。外遊びで服を汚した、トイレを失敗したなど、子どもが着替えをするときは、女性職員だけが対応するのではなく、男の子の着替えは男性職員がするなど、基本的には同性が介助するという配慮が必要だと思います。
「いつどんなときも、子どもとの関わり方は意識をしよう」と支援員間で共有しておきたいですね。自分自身の行動を振り返ったり、他の支援員の関わり方で気になる様子があれば、支援員間で話し合ったりする姿勢も大切です。
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回答者プロフィール小野 さとみ (おの・さとみ)
1962年愛知県生まれ。名古屋市、東京都八王子市や町田市で放課後児童クラブ支援員として勤務し、支援員歴37年。現在は町田市の放課後児童クラブの支援員。
全国学童保育連絡協議会・副会長、月刊『日本の学童ほいく』編集担当役員を務める。