支援員のお悩み相談室 第47回 主任が代わってから、「学童だより」を出さなくなりました。学童だよりは出さなくてもいいのでしょうか?
以前は、「学童だより」を毎月出していましたが、主任が代わってからは一度も出していません。
「手書きでもよいので出してください」と言っても、「私のいちばん苦手な分野なんです」と言われて状況は変わりません。学童だよりは出さなくてもいいものでしょうか?
「行事のお知らせ」など、シンプルな学童だよりを出すことを提案してみましょう。
学童だよりは、保護者に子どもたちの様子を伝えるツール
学童だよりの第一の目的は、学童保育での子どもたちの様子を保護者に伝えることにあります。どんなことをして遊んでいるのか、その月に取り組んでいること、翌月の予定など、紙面を通して伝えることができます。行事がある場合は、お誘いする言葉に添えて、根気強くがんばっている姿や子どもたちがどう変わったかを報告します。
支援員の思いも伝えられるので、保護者の協力も得やすくなります。私の学童ではコマ回しに取り組んでいるのですが、学童だよりに「2年生の男の子がすごく練習をしてがんばっています」「できるようになった姿を見てあげてください」と書いたところ、お父さんから「家でも練習しています」と声をかけてくれ、保護者との距離が近くなりました。
また、学童だよりを作っていると、子どもたちとの関わり方を客観的に見ることができて、自分が「何を大事にして保育に取り組んでいるか」という保育観や、「もっとこういうふうに働きかければよかったのかな?」という反省点などに気付くこともあります。
このような効果を考えると、学童だよりはあったほうがいいと思います。特に学年が上がると、学校や学童での出来事をあまり家庭ではしゃべらなくなる傾向があるので、学童だよりで子どもの様子を知ることができるのは、保護者にとってもメリットがあります。
まずは、A4サイズの「お知らせ」から
「学童だよりを書くのは気が重い」ということですが、きっと何を書いたらいいのかネタに困っているのかもしれませんね。難しいことを書く必要はなく、簡単な「お知らせ」でいいんです。学童で行った行事や、その月のお誕生日会の様子、日頃どんな遊びをしているかをA4サイズに書くだけでも、りっぱな「学童だより」になります。
慣れてきたら、学童ではやっている遊びについての解説や、好きなおやつについてのインタビューなども記事にできます。続けていくと、自然と子どもたちの様子や自分たちの学童ならではの良さを伝えたくなるのではないでしょうか。
主任が作るのが苦手なら、周りのスタッフが引き受けてもいいと思います。私の学童では月に1回の発行で、内容によってA4かB4サイズのものを1枚作ります。3人の職員が順番に担当していて、手書き派もいればパソコン派もいて、それぞれにやりやすい方法で取り組んでいます。書きたいことがある人がいれば、特別に原稿を書くなどフレキシブルに分担しています。
注意しておきたいのは、「個人名や顔がわかる写真を出さない」こと。子どもががんばっているときなど、名前や顔を出してほめてあげたい気持ちもありますが、個人情報の取り扱いには注意が必要です。特定の子どもの名前を出さず、「2年生の女子がこんな遊びをしています」という書き方をしたり、全体が写っている引きの写真を掲載したりします。
また、「悪いことは書きっぱなしにしない」「ポジティブなことを伝える」というのも気をつけたい点です。「問題があったけれど、こういう改善がされました」「こういう成長が見られました」というように。「トラブルが起きていて困っています」というだけの内容だと、保護者は不安になってしまいますから。
学童だよりが出せなくても、子どもの様子を伝える工夫を
学童だよりが果たす役割は大きいと思いますが、支援員は日々の業務も大変です。施設ごとに、可能なペースでおたよりを発行できないか話し合ってみてください。どうしても学童だよりを出すのが難しいなら、お迎えのときや保護者会、連絡帳などを活用しましょう。何らかの方法で学童での子どもたちの様子を伝えることは、保護者との交流を深め、理解を得るために大切なことです。
「今日は塗り絵をていねいにやっていました」「こんなことが原因で、○○くんとケンカになりましたが、お互いにごめんねって言えました」というように、短くポイントを絞って伝えます。目立つ子は意識していなくても目に飛び込んできますが、静かに過ごしている子は、保護者に何を伝えればいいのか迷うときがあります。「あの子、何していたっけ?」と思ったときがチャンス。次の日に5分でも10分でもいいから、その子が何をしているのか意識をして見ていきましょう。
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回答者プロフィール吉岡 れいこ (よしおか・れいこ)
兵庫県生まれ。大阪府の放課後児童クラブ支援員として勤務し、支援員歴 15 年。
月刊『日本の学童ほいく』の編集委員を2年間勤めた経験あり。