支援員のお悩み相談室 第11回 新型コロナウイルス対策のために、「3密」にならないような遊び方はありますか?

回答者:小野 さとみ

2020.06.23

新型コロナウイルス対策のために、密閉・密集・密接の「3密」を避けるよう心がけていますが、子どもたちが遊び始めると、どうしてもくっついてしまいます。3密にならないようにするにはどうすればいいでしょうか?

遊びによってコーナーを分ける、1人で落ち着いて過ごす時間をつくるなど、密にならない環境を大人がつくってあげるよう心がけましょう。

 

 

遊びによってコーナーをつくり、密集を防ぐ工夫を

放課後児童クラブの開所も通常に戻り、子どもたちが一気に増えてきました。そんななか、3密を避けるためにはどうすればいいか。まず場所をどう使うかを考えましょう。放課後児童クラブで使える場所はいくつありますか? その広さで何ができるでしょう? 専用室に加えて、学校の空き教室や校庭が使えるという場合もあるでしょう。支援員の配置を含めて検討すると、専用室と空き教室の2カ所に人数を分けることもできますし、室内と校庭の2カ所に分けて遊ぶこともできます。

専用室が一つしかないという場合も、工夫の仕方があります。部屋全体を「自由に何でも遊んでいいよ」という空間にしてしまうと、遊びが入り乱れてしまうし、子どもたちが密集してしまう場面も増えます。部屋の角などに机や道具・おもちゃを置いていくつかコーナーを用意して、「ここではこれができるよ」という環境をつくります。支援員は遊びの環境をつくりつつも、子どもたちがやりたい遊びを自分で選べるようにしてあげましょう。工作やぬり絵やレゴやボードゲームなど、やりたい遊びのコーナーにそれぞれが行って遊べば、多少は密になることを防げます。コーナーごとに何の遊びを用意しておくかは、子どもの意見も取り入れて準備しましょう。

室内が広ければ、少し体を動かすスペースをつくることもできます。私が勤務している放課後児童クラブでは、テーブル卓球のスペースをつくっています。いつも一定数の子どもたちがテーブル卓球に夢中になるようで、人気があるコーナーです。

 

全員で同じ遊びをするのではなく、1人で落ち着いて過ごす時間もつくる

もう一つは、1日の生活のなかで1人で落ち着いて過ごせる時間をつくることもよいと思います。学習や読書の時間をつくったり、時間帯で過ごし方を変えることも一つの工夫です。少なくともその時間は、3密から離れられます。

新型コロナウイルスでの自粛期間中は、「1人で取り組みたいものをおうちから持ってきてもいいよ」と許可して過ごしました。そうすると、自宅から好きなぬり絵と色鉛筆を持ってきて、集中して取り組んでいる子どももいました。


子どもたちが、自分でやりたいことを決められる範囲を残して計画を

放課後児童クラブの生活は、限られた空間で長い時間を集団で過ごすので、どうしても3密になりがちです。結論として、なるべく3密を避けるには、場所を分けたり、時間帯で過ごし方を変えたりすることで生活にメリハリがつくように、支援員が計画しておくことが必要になります。

学校の授業ではないので、「何時から何時まではこれ」と時間割を決める必要はありません。取り組む対象を一つに決めてしまうと、やらされている感じが出てしまうので、子どもたちに反発されてしまうことも。3密にならない工夫をするときにも、子どもたちが自分でやりたいことや遊びを選んだり決めたりすることを、生活のなかで守ることが大切な視点となります。

(文・構成 生島典子)

 

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小野 さとみ

回答者プロフィール小野 さとみ (おの・さとみ)

1962年愛知県生まれ。名古屋市、東京都八王子市や町田市で放課後児童クラブ支援員として勤務し、支援員歴37年。現在は町田市の放課後児童クラブの支援員。
全国学童保育連絡協議会・副会長、月刊『日本の学童ほいく』編集担当役員を務める。