たのしーと制作者インタビュー「遊びながら学ぼう!」 第6回 黒崎 玄さん
#パンチョお絵かき
「放課後たのしーと」のメインキャラクターである、パンチョ、チカ、ニャンチョ、フェニックス先生の「パンチョ☆スターズ」は、サイトやプリントで大活躍しています。この「パンチョ☆スターズ」の生みの親が、イラストレーターとして活躍する黒崎 玄さん。「パンチョお絵かき」の制作も担当しています。黒崎さんにキャラクター制作の背景を聞きました。
キャラクター制作の依頼を受けて、制作でこだわったポイントは?
放課後児童クラブの子ども向けのサービスを作るということで、企画の初期段階でキャラクター制作の依頼を受けました。編集部と相談しながら、キャラクターは「謎の覆面レスラーのグループでいこう」ということになり、国籍不明、年齢不詳で明るく活動的なキャラクターにしようと思って描きました。
最初に描いたキャラクターのラフスケッチを見て、編集部では「マスクをかぶっていることで、表情がわかりにくいのでは?」という意見もあったようですが、僕は全く心配していませんでした。マスクをしていても細かいしぐさは表現できますし、そのほうが他の子ども向けキャラクターとは違う個性が出せると思っていたからです
黒崎さんが最初に描いたラフスケッチのイメージと、現在のキャラクター設定を比べて変化したところはありますか?
マスクをかぶった男の子、女の子、大人、猫がいる4人組という基本設定が決まると、編集部がキャラクターの名前を「パンチョ」「チカ」「フェニックス先生」「ニャンチョ」と決め、それぞれの性格を肉付けしてくれたので、そのイメージに合うポーズをいくつか描き起こしました。
フェニックス先生はおなかが出たあの体形ですから、てっきり「学者タイプ」だと思いきや、スポーツ万能の体育会系の先生になっていたのにはビックリしましたね。でもそのギャップがとても楽しく、編集部に委ねてよかったなと思っています。
どのキャラクターも実際に描いてみるとポージングも決まりやすく、それぞれの性格もはっきりしていて、とても楽しいキャラクターたちになったと思っています。
「パンチョお絵かき」では、キャラクターたちがいきいきと活動しています。どのように動きを考えるのでしょうか? それぞれのキャラクターを描くときの現在のイメージは?
「パンチョお絵かき」は、あらかじめ編集部から季節に合わせたテーマでいくつかの提案が届くので、僕は「どんなシーンにしようか?」「このシーンなら、このキャラクターを動かそうかな」という感じで考えます。シーンが決まってしまえば、あとは勝手に彼らが暴れてくれるので、僕はとても助かっています。よくできた連中です!
パンチョは小学校の低学年から中学年くらいをイメージして描いています。ギャングエイジと言われるように元気で聞かん気な男の子。チカは賢く姉御肌の大人っぽいイメージ。パンチョとチカは友達なので、2人の掛け合いをもっと描いてみたいですね。
フェニックス先生は太っちょなのに、無茶な動きをする楽しいおじさんキャラ。僕自身がおじさんなので、シンパシーを感じています(笑)。ニャンチョはいまだに謎が多くて、これからが楽しみなキャラクターです。
黒崎さんがイラストやキャラクターを制作する上で影響を受けていることはありますか?
僕は美術工芸高校の美術学科で彫刻を3年間勉強して、大学ではデザイン学科でグラフィックデザインの勉強をしました。大学を卒業後、広告制作会社でグラフィックデザイナーとして仕事をした後、フリーのイラストレーターになりましたが、学校で学んだことや出会った人、関わってきた仕事のすべてが今の僕の糧になっています。
僕が描くイラストやキャラクターが「粘土で作ったように立体的に見える」とよく言われるのは、彫刻をしていたことが影響しているのかもしれません。常にモノを空間の中に置いて見たり、立体として考えたりするところが無意識にあるようです。イラストレーターになりたてのころは、物体を俯瞰からイメージして描ける人が少なかったので重宝されました。
実は、パンチョやフェニックス先生のおなかや指先も、立体的に描いているんですよ。わかりますか?
(文・構成 米原晶子)
プロフィール 黒崎 玄(くろさき・げん)
兵庫県生まれ。京都精華大学デザイン学部 V.C.デザイン学科卒業。広告制作会社を経て、フリーのイラストレーターとして活躍。雑誌や書籍、広告、WEBなどのイラストレーションを制作。さまざまな企業や書籍などのキャラクター制作にも関わる。 主な著書に、絵本「ロビーとケロビー」(主婦と生活社)、「恐怖! なぞなぞじごくめぐり」(ポプラ社・共著)など。