支援員のお悩み相談室 第41回 子どもたちが騒いでしまい、支援員が注意をしても静かにならないときがあります。子どもを落ち着かせる方法を教えてください。
子どもたちには「優しい先生」と慕われていますが、あまり厳しく接することができないためか、話を聞いてほしいときでも騒がしくなってしまい、困っています。騒いでいる子どもを落ち着かせるための声かけや、よい方法があれば教えてください。
みんなが集合する場面では、支援員同士で役割分担をし、連携して取り組みましょう。
興奮した気持ちをクールダウンできる、紙芝居や手遊びなどの工夫を
騒いでいる子どもたちを大声で怒鳴りつけたり、威圧的な言葉で制したりするだけでは、そのときは子どもが静かになったとしても、支援員の話を聞こうという気持ちは育ちません。かえって力で抑え込むことで、怒る支援員がいるときは静かになっても、いないときは騒がしいままということになりかねません。子どもたちが、どの支援員の話でも聞けるようになることが大切です。
集合してみんなに話すときは、「静かにして!」と怒鳴るよりも、小さな声でしゃべるほうが効果的なこともあります。子どもたちの前に立ち、「静かにしてほしい」と合図のように「しーっ」と指を口の前においてみたり、話をするのを少しの間待ってだまったりしていると、子どもたちは少しずつ静かになることもあります。
夕方の帰りの会で落ち着かせたいときは、最初に紙芝居を読むと、子どもたちは集中して静かになります。手遊び、なぞなぞ、ミニゲーム(ホワイトボードがあれば、ことば集め、絵しりとりなど)のような遊びも、興奮して騒いでいた子どもたちがクールダウンできるようです。
支援員同士の役割分担や連携も重要です。前に立って子どもたちに話をするリーダー役の支援員は、「今からお話をしますよ」という落ち着いた態度でいましょう。リーダーが個別に子どもを注意しに行ってウロウロしてしまうと、いつ話が始まるのかと待っている他の子どもたちも集中できません。
リーダー以外の支援員は、子どものそばや後ろで見守るようにして、騒がしい子に個別に注意をしたり、「今は静かにするよ」「お話しているでしょう」と声掛けをしたりします。そうやって連携し合って子どもたちを話に集中させていきます。子どもたちに話をする場所を決めておくのもお勧めです。「話をするときにはここに立つ」というように、形から入って、「今から話があるんだな」と子どもから気づけるようになるといいですね。
連絡事項は要点を絞って伝える。毎日の遊びで関係性をつくることも大切
子どもが集中できる時間は短く、低学年では15分程度です。「今から二つのことを話します」と見通しを先に伝えてから、「一つ目は…」「二つ目は…」と話しながら、結論やわかってほしいことを先に伝えて、理由や説明はあとからにします。伝えることは、1回に三つぐらいまでがいいでしょう。しっかりと伝えたいことは、話すだけでなく、ボードに板書をするなど視覚からも伝えると有効です。
「子どもを落ち着かせる魔法の言葉」はありません。大事なことは、子どもから「この人の話をちゃんと聞こう」と思ってもらえる関係性があるかどうかです。「この人は、自分がつらいときに助けてくれる」「いつでも話を聞いてもらえる」と子どもが普段から実感できていれば、「それは危ないからやめようよ」と支援員が言ったときに、その子の心にスッと入っていくでしょう。
子どもと支援員の関係は、何よりも「一緒に遊ぶ」ことで深まっていきます。一緒に遊ぶことには、支援員が子どものことを知るだけでなく、子どもに支援員を知ってもらうという、両方の目的があります。遊びを通して相手のことを知り、信頼関係が生まれ、子どもはその支援員の話を聞いてくれるようになっていくものです。
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回答者プロフィール小野 さとみ (おの・さとみ)
1962年愛知県生まれ。名古屋市、東京都八王子市や町田市で放課後児童クラブ支援員として勤務し、支援員歴37年。現在は町田市の放課後児童クラブの支援員。
全国学童保育連絡協議会・副会長、月刊『日本の学童ほいく』編集担当役員を務める。