支援員のお悩み相談室 第7回 保護者との関係の築き方がわからず、不安でいっぱいです
子どもと向き合っているときと違って、保護者の方にどのように接すればいいのか悩んでいます。対応が悪ければクレームにつながりかねないですし、コミュニケーションのとり方が分からなくて不安でいっぱいです。
保護者が見守ることができない時間を一緒に過ごしている大人として、子どもの様子を伝えましょう。保護者と支援員は子育ての同志です
小さなケガ、小さな出来事ほど、ちゃんと保護者に伝える
子どもと過ごす時間は楽しいけれど、保護者とどのように接すればいいのか、どんな会話をすればいいのかと悩んでいる支援員は多いですね。保護者と向き合うときの基本姿勢は、保護者が普段見ることができない放課後の時間を子どもと一緒に過ごす大人として、「放課後の子どもの様子を伝えること」に尽きます。そのことを念頭において、保護者とキャッチボールのような会話のやりとりができる関係を築いていくことが大事です。
「日ごろから何事もなく過ごせている」「大きなトラブルもない」「保護者から声をかけられない」から伝えなくていい、などと思っていませんか? 成長を感じられた話や、ケンカやケガなどのトラブルの場合でなくても、「今日は、ブロックで車を作って見せてくれました」「片付けを手伝ってくれたんですよ」というように、子どもがやっていたあそび、普段の生活で見たことを伝えるだけでもお互いのコミュニケーションはうまれます。
特に支援員の皆さんに大切にしてほしいのは、「小さなケガ、小さな出来事ほど、必ず伝える」ということです。「このくらいのことなら伝えなくてもいいだろう」と勝手に判断せず、小さなことこそ伝えるべきです。例えば、「テーブルの隅で指をぶつけて、ちょっとしたキズに絆創膏を貼った」というようなことも、きちんと保護者に伝えます。保護者は子どもの小さな変化にも気付くものです。「朝、家を出ていったときと違っていることは伝える」と考えてください。小さなことを伝えることで「ちゃんとお子さんを見ています」ということが保護者に伝わり、それが信頼関係を築く第一歩につながります。
保護者に伝えるためには、子どもと関わり、よく見る
保護者に毎日1つでもその子の様子を伝えるためには、子どもと関わり、よく見ることが必要です。「髪を切ったんですね」「Tシャツの柄がかわいいですね」など、たわいないことでもかまいません。「一人ひとりを『個』として見てくれている」と保護者に伝わればOKです。「○○くんってかわいいですね。こんなことを言っていたんですよ」と、支援員に言われたら、保護者もうれしいでしょう。保護者にとっても、放課後に何をして、どんなあそびをしていたかを教えてもらうと、家に帰ってから親子の会話のきっかけになります。「放課後児童クラブで楽しく過ごせている」ということも伝わります。
お迎えに来たすべての保護者と毎日話せるわけではないでしょうから、週に1回でも話せるといいですね。保護者会や個人面談などはゆっくり話せるいいチャンスです。お迎えに来ることができず、保護者会にも来られないという保護者には、子どもの様子を通信で紹介したり、行事で会えるようにしたり、あの手この手を駆使します。連絡帳があれば、それで伝えることができます。何か悩みがあったときに連絡帳を介してやりとりができるので、保護者が何も書いてこられなくても続けたいですね。
日常的に子どもの様子を発信していれば、「支援員は、わが子のことを大切に思ってくれている」ということが保護者にも伝わります。普段からコミュニケーションが取れて信頼関係が築けていれば、「一方的な意見を言われるのでは」「保護者とうまくいかないのではないか」と不要な心配を抱くこともありません。何かトラブルが起きたとしても、話し合いがしやすく、一緒に解決していこうという姿勢も生まれやすいのです。支援員と保護者が、いいことも悪いことも一緒に見守っていく同志のような関係になれるよう、普段から小さな会話を積み重ねていきましょう。
(文・構成 生島典子)
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回答者プロフィール小野 さとみ (おの・さとみ)
1962年愛知県生まれ。名古屋市、東京都八王子市や町田市で放課後児童クラブ支援員として勤務し、支援員歴37年。現在は町田市の放課後児童クラブの支援員。
全国学童保育連絡協議会・副会長、月刊『日本の学童ほいく』編集担当役員を務める。