支援員のお悩み相談室 第8回 普段の放課後の生活のリズムは、どう整えたらいいのでしょうか?
学校が終わって、放課後児童クラブに来てから家に帰るまでの間、遊びやおやつ、宿題などのスケジュールをどんな順番で組めばいいのでしょうか。子どもたちがいつも落ち着かない感じなので、どこを改善したらいいのか知りたいです
一つひとつの取り組みやスケジュールの流れには意味があります。活動の意味をきちんと理解したうえで、生活のリズムを考えましょう。
帰ってきたら「おかえり~」と受け止めることからスタート
学校が終わってからスタートする放課後児童クラブは、自宅へとつながる子どもの居場所です。活動の流れ一つひとつに意味があります。まずは私が勤務している放課後児童クラブでの生活を紹介しましょう。
① ~14:30 下校② 自由遊び
③ 15:30~ おやつ
④ 15:50~ 自由遊び・外遊び
⑤ 17:00~ 宿題・読書・読み聞かせ
⑥ 17:30~ 室内自由遊び 帰宅
多少の差はあっても、ほとんどの放課後児童クラブが同じような生活リズムで過ごしているのではないでしょうか。でも支援員が活動の意味を考えずに、ただ時間通りにこなすことが目的になってしまうと、子どもの落ち着きがなくなってくるかもしれませんね。それぞれの活動はどんな意味のある時間なのかを考えてみましょう。
① ~14:30 下校
「ただいま!」と学校から帰ってきた子どもたちを保護者が家庭で迎えるように、まず「おかえり~」と声をかけてあげましょう。このとき、つい「ランドセルはロッカーにしまった?」「靴は下駄箱に片付けて」「宿題やろうね」「連絡帳出して」と次から次へと声をかけたくなることもありますが、子どもは、学校での生活を精一杯頑張ってきています。やっと放課後の時間になったのに、あれこれ言われたくないですよね。こういう声かけをしていると、子どもたちから「わかってるよ!」とイライラした言葉が返ってくるのではないでしょうか(笑)。
支援員からすれば、次の活動に備えてやってほしいことはたくさんありますが、まずは「おかえり!」と子ども受け入れて、余裕があれば「学校どうだった?」「風邪ひいてない?」など子どもの様子や体調などを尋ね、いつもと違ったことがないかを観察できるといいですね。
子どもの気持ちに合わせて組み立てることでイライラやトラブルも防げる
② 自由遊び
学校では取り組まなければならないことが多いので、そこから解放されて、自分がしたい遊びを自由にできる大事な時間です。コマ、けん玉、読書、お絵かきなど、各自が好きな室内遊びをして、疲れた体と気持ちをリラックスさせます。
③ 15:30~ おやつ
子どもたちが大好きなおやつタイム。給食を食べてから時間がたっているので、ここで夕食までのエネルギーを補給します。おやつの用意を手伝ったたり、友達とおしゃべりしたりしながら、みんなで食べるのも楽しいですよね。
④ 15:50~ 自由遊び・外遊び
校庭や公園などで外遊びをしたり、広いスペースで鬼ごっこをして走り回ったり、キックベースやドッジボールをしたりして体を動かします。思いっきり体を動かして遊ぶ時間を大事にしていきたいですね。
⑤ 17:00~ 宿題・読書・読み聞かせ
たくさん体を動かして遊んだ後はテンションが上がっているので、読み聞かせなどで気持ちを少し落ち着かせます。宿題をしたり本を読んだりする時間があってもいいですね。テンションが高いままだと帰宅時に危ないので、クールダウンして落ち着いて帰れるモードにしていく工夫が必要です。
⑥ 17:30~ 室内自由遊び 帰宅
ありふれた1日の過ごし方のように見えるかもしれませんが、放課後の生活リズムはとても大切です。子どもの気持ちや体調に合わせて活動を組み立て、無理のない時間を過ごせば、子どものイライラや友達同士の衝突もある程度防ぐことができるんですよ。何のためにある活動か、その意味を理解して取り組んでいきたいですね。「放課後の子どもが落ち着かない」「活動のリズムとかみ合っていないのかも」と思ったら、「今までがそうだったから」「他もそうやっているから」と決めつけずに、思い切って活動のリズムを変えるのもいいと思います。
(文・構成 生島典子)
★「支援員のお悩み相談室」で聞きたいことを大募集!★
子育て支援の専門家がおこたえします。コラムへのご意見、ご感想もお寄せください。
・支援員の方はこちら
・保護者の方はこちら
回答者プロフィール小野 さとみ (おの・さとみ)
1962年愛知県生まれ。名古屋市、東京都八王子市や町田市で放課後児童クラブ支援員として勤務し、支援員歴37年。現在は町田市の放課後児童クラブの支援員。
全国学童保育連絡協議会・副会長、月刊『日本の学童ほいく』編集担当役員を務める。